密室監禁司法・人質司法

 現実としては、警察官に逮捕されると48時間以内に検察官に送致され、送致を受けてから24時間以内に検察官が勾留を請求し、裁判官によって10日間の勾留が認められるケースがほとんどです。これは俗に「身柄を取る」といわれています。そして、一概にはいえませんが、事実関係を否認すれば、ほぼ間違いなく勾留期間を10日間延長されます。
 通常、逮捕・勾留される場所は警察署内の留置場です。逮捕から数えて、最大23日間警察の留置場内で生活し、必要に応じて取調べがなされるということになります。取調べ担当官は、その気になりさえすれば、いつでも留置場から被疑者を連れ出して取調室で取調べを行うことが可能な状況が作られるのです。
 確かに、逮捕・勾留については、被疑者を逮捕・勾留場所において監禁するものですから、これを正当化するために法律上厳格な要件が定められています。しかし、実際の運用は、請求があれば裁判官は、比較的緩やかな要件で逮捕・勾留を認めるようです。
 留置場に監禁されるだけならまだしも、弁護人以外の面会を許さない措置がなされると、肉親や友人の誰とも面会も手紙のやりとりもできなくなります(但し、物品の差し入れはできます)。接見等禁止決定(刑訴法81条)といわれるものです。共犯事件や否認事件では必ずと言っていいくらい勾留請求時にあわせて接見等禁止請求がなされ、裁判官もあっさりと認めています。接見等禁止決定がなされると被疑者は大変辛い状況に追いやられます。逮捕されて、事実関係を否認しようものなら、留置場に23日間拘束され、かつ、誰とも面会できずに過ごすことを強いられる状況になるのです。
 被疑者は、「監禁」された中で取調べを受けることになりますが、取調べは、三畳程度の部屋に机と椅子がおいてある取調室内で、担当取調官(通常は二名)により行われます。担当取調官と被疑者以外には誰もいません。もちろん外部に通ずるドアは閉められ、録音・録画もなされません。取調室内部での出来事は被疑者と取調官以外の人間には一切わかりません。外部からどのような過程で供述調書が作成されたか一切検証できない「密室」での取調べなのです。被疑者が、裁判で、取調べの際に暴行を受け、あるいは罵声・怒号を浴びせられたたことにより自白したと訴えてみても、警察官が一言「被疑者は涙ながらに告白してくれました」と証言すれば、被疑者が任意に自白したことになってしまうのです。
 あ? おそろしや!
 このような状況を「人質司法」と表現しているところです。